recomend1 of BHB

BIG HORNS BEE始動!
BHB名義としては、96年の『For You』以来なんと8年ぶり、“FUZZ JAZZ QUARTET featuring BIG HORNS BEE”名義のアルバム『HEAD ROOM』から数えても5年ぶりという、ほんとうに久々のアルバムだ。もちろんその間も彼らは、日本の音楽シーンを代表するホーン・セクションとして、精力的に活動してきた。
 “元米米CLUB”という説明も必要ないほど、BHBはその鉄壁のアンサンブルと、パワフルなパフォーマンスで、彼ら自身のライヴはもちろん、様々なセッションや、トップ・アーティストたちのサポートなどで、その分厚いホーン・サウンドを聴かせてくれている。“ぜひBHBと一緒にやりたい”と、彼らとの共演を望むアーティストも後を絶たない。
 そんな彼らが、待望のニュー・アルバムを完成させた。新たに、トランペッターの佐々木史郎を加え、そのアンサンブルはさらにパワフルに、そしてタイトになっている。そして全体のサウンドも、これまでの彼らのアルバムよりも、さらに新感覚のサウンドが展開されている。もちろんメインはホーン・セクションなのだが、それだけではなく、バンドのグルーヴ感も素晴らしいし、1曲1曲のアレンジもとても新鮮だ。まさに進化したBHBが、このアルバムで表現されているといえるだろう。
 今回は彼らのオリジナル曲が5曲に、カヴァー4曲という構成になっているが、オリジナル曲では、そのアレンジやホーンのアプローチを含めて、ホーン・セクションによる音楽の、新たなる可能性を提示している。沼澤尚の超絶ファンク・ビートとBHBとがひとつになって疾走する「Vamp Intro」、クラブ・ジャズ風の「Peace of Love」、グルーヴィーなファンク・ジャズ「Funky Juice」など、BHBならではの、新鮮なサプライズに満ちている。さらにビートルズの「Come Together」、WARの「Why Can't We Be Friends ?」、バディ・リッチの「Nuttville」、そしてあの「Mission Impossible」といったカヴァー曲の選曲と、アレンジのセンスもさすがだ。どの曲も単なるカヴァーの域を超え、とても新鮮な、“BHBミュージック”として生まれ変わっている。特にラテン・ファンクに変身してしまった「Mission Impossible」の斬新なアレンジは、アレンジャー金子隆博の本領発揮といえるだろう。また須永辰緒プロデュースによる「Nuttville」の躍動感も素晴らしいし、「Why Can't We Be Friends ? featuring ゴスペラーズ」では、BHBの“フレンド”であるゴスペラーズとの共演という、嬉しい特典もついている。そしてやっぱりどの曲も、5人のホーンの切れ味がほんとうに気持ちいい。今ホーン・セクションで、これだけヌケがよく耳に心地いいサウンドが出せるユニットが、どれだけいるだろうか。パワフルだけど、暑苦しくない。やっぱりBHBは、素晴らしいセクションだなということを、あらためて実感させてくれる。
 このアルバムは、BIG HORNS BEEというユニットが作り出した、極上のファンク・アルバムだ。でかい音で浴びるように聴いてください。心がスカッとなること、請け合いだから。

text by Yoshihiro Kumagai